手芸の歴史その2
初出からのアプローチはその1で書きましたが、
現代の文脈からの手芸の歴史。
手芸を現代の文献で紹介したのは、
こちらです。
大田才次郎 著
日本全国児童遊戯法 -東京・京都・大阪 三都遊戯-
博文館発行 明治34年
こちらは原書は読んだことがないのですが、
復刻版が出てまして、
「日本児童遊戯集 (東洋文庫)」
大田才次郎 編, 瀬田貞二 解説
平凡社, 1968(昭和43年)
おそらく、子どものあそび、
特に言葉を介さない、動作のあそびを網羅的に記した、
はじめての本だと思います。
その中で、手芸を紹介する段があり(60頁)
「手芸とは指もて種々の形を模する戯にて、その種類尠少ならざれど、その三、四種を左に略記せん。」
と紹介されています。
手芸の定義が記載されてますね。
わかりやすく言い直すとしたら、
手芸とは、指を使って様々な形を模するあそびである、
というところでしょうか。
この本は、絵や図がなく、文章の説明だけなのですが、
眼鏡、段々湯、離れ蟹など、
代表的な手芸が十個ほど紹介されていて、
明治期の手芸の多様さを物語る貴重な資料です。
惜しむらくは、最後に、
....
「三番の舌出し」「口鉄砲」「口花火」「栄螺の壷焼き」「鼻毛抜き」「獅子」と枚挙に暇あらざれば略す。
....
と記載されて、手の組み方の紹介なく省略されたものがあること。
栄螺の壷焼きと獅子(カエル)は他の文献でわかるのですが、
「鼻毛抜き」や「三番の舌出し」が謎のままで、
略さないでー、と言いたくなりますが笑。
そこは仕方ないですね。
この復刻版の瀬田貞二さんの解説を読むと、
「遊戯法を記述した本というものは、実は以外に数が少ない。遊戯の類縁である、あるいはその一部である童歌については、曲節は別として、その歌詞をあげつらねたものが、古くからかなり多くみられるのにくらべて、それに伴って動作する方の遊びの遊び方を書き留めた本は、古来きわめて稀である。思うに、詞章は文字に移しやすく、動作はその煩にたえないことが主な原因であろうが、それ以上にむかしの人々は、日常触目する子どもたちの遊びを文字どおり児戯として、とりあえげる意義を見出さなかったためであろう。」
とあります。
この「動作を伴うあそび」がなかなか文献に残らなかった理由の考察として、
とても興味深いですね。
「児戯に等しい」とは、
児戯も立派なものだ!と反論してやりたいです笑。
という児戯に等しい(というかまさに児戯の)手芸ですが、
本ブログでは真面目に考えていきたいと思います。
エビバディテゲイ!!